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徒然草気まま読み#154
「未練の狐」
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今回扱うのは、第二百三十段。
全文を紹介すると…
五條の内裏には妖物(ばけもの)ありけり。藤(とうの)大納言殿語られ侍りしは、殿上人ども、黑戸にて棊をうちけるに、御簾をかゝげて見る者あり。「誰(た)そ。」と見向きたれば、狐、人のやうについゐてさしのぞきたるを、「あれ狐よ。」ととよまれて、まどひ逃げにけり。未練の狐化け損じけるにこそ。
現代語で「未練」とは、「未練がましい」とか
「未練たらたら」といった使い方しかしないが、
ここでいう「未練」は「熟練」の反対語。
まだ未熟で、人に化け損ねた狐を見たという人の話。
一方で現代人に通じる、あるいはそれ以上の
合理的思考を見せる兼好だが、
もう一方ではこんなおとぎ話のような出来事を
疑いもせず事実扱いしているのも、面白いところ。